岩手山

火山観測情報

第12号
                平成11年5月14日14時00分
                  盛岡地方気象台 発表
         火山名  岩手山

4月23日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。

【概況】
5月9日に岩手山西側を震源とする火山性地震が一時的に増加し,
日回数が29回となりました。それ以外の日は日回数10回程度で
やや少ない状況で推移しました。モホ面付近の地震が引き続き観測
されました。今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。

【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
日   	4/2324	25	26	27	28	29	30	
火山性地震	5	9	2	3	3	12	14	11	

日         5/1	2	3	4	5	6	7	8	
火山性地震	12	12	7	2	9	1	5	0	

日	9	10	11	12	13	14	
火山性地震	29	5	11	7	11	3	
・5月9日01時56分に姥倉山・黒倉山付近を震源とするマグニチュード
 (M)2.6の地震が発生し,雫石町長山で震度2を観測しました。この地
  震も含めて9日0時から4時までに26回の地震が観測されました。震源は
  いずれも姥倉山・黒倉山付近でした。その後は発生回数の増加はありません。
  また,岩手山東側のやや深いところ(深さ4~8km)の地震がで引き続き
  観測されています。
・火山性微動は発生していません(今年に入ってからの火山性微動の月回数は
  1月7回,2月4回,3月1回,4月1回,5月0回です)。
・モホ面付近の地震は4月23日1回,24日1回,27日1回,28日8回,
 29日4回,5月1日10回観測されました(今年に入ってからの月回数は
 1月15回,2月12回,3月15回,4月15回,5月10回(5月12
 日現在)です)。

【機上観測】
5月13日に岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施しました。
大地獄谷,黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)及び黒倉・姥倉鞍部付
近,黒倉山,妙高岳南東斜面,御鉢内壁の地熱地帯の状況を観測しました。
前回(4月23日)と比較して表面現象に大きな変化は見られませんでした。

【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
この期間は表面現象に変化はありませんでした。

5月25日(火曜日)に火山噴火予知連絡会の定例会が開かれますが,岩手
山の検討内容によっては火山情報でお知らせします。
また,火山活動に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
 
参考資料(めんこいテレビ)
火 山 観 測 情 報 第 11 号 平成11年4月23日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 4月20日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 20日に火山性地震が多発しましたが,21日以降,地震の日回数は10回以下となり活発化 は見られません。モホ面付近の地震は4月に入ってから観測されていませんでしたが本日1回 観測されました。 今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在) 日   20 21 22 23 火山性地震 57 8 7 4 ・20日の0時から6時までに岩手山西側の姥倉山~黒倉山付近の深さ2~3kmで  41回の規模の小さい地震が観測されましたが,その後は発生回数の増加はありません。 ・20日の20時台に岩手山東側のやや深いところ(深さ4~8km)で12回の地震が  観測されましたが,その後は発生回数の増加はありません。 ・火山性微動は4月15日以降発生していません(今年に入ってからの火山性微動の月  回数は1月7回,2月4回,3月1回,4月1回です)。 ・モホ面付近の地震は本日23日07時07分に1回観測されました(今年に入って  からの月回数は1月15回,2月12回,3月15回)。 【機上観測】 21日,本日23日に岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施しました。大地獄 谷,黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)及び姥倉分岐付近,黒倉山,妙高岳南東斜面, 御鉢内壁の地熱地帯での雪解け状況を観測しました。黒倉・姥倉鞍部の北側斜面で少量の噴気 を確認しました。その他は前回(4月9日)と比較して表面現象に大きな変化は見られません でした。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 この期間は表面現象に変化はありませんでした。 次の火山観測情報は5月14日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化があれば, 随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 10 号 平成11年4月20日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山  岩手山の火山活動状況をお知らせします。 火山性地震の回数は,今年に入ってやや少ない状況で推移していましたが, 今日(20日)の日回数は0時から6時までに41回と多く発生しました。 震源は西岩手の黒倉山付近で有感地震はありませんでした。 6時以降は地震の発生はありません。 なお,火山性微動,モホ面付近の地震は発生していません。 また,表面現象に変化はありません。 本日の火山性地震41回は,昨年9月12日(42回)以来の発生回数です。 今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。  東北大学の松川観測点で観測された火山性地震回数はつぎのとおりです。 4月20日の時別回数(13時現在)  00時~01時  4回    07時~08時  0回  01時~02時  4回    08時~09時  0回  02時~03時 12回    09時~10時  0回  03時~04時 12回    10時~11時  0回  04時~05時  7回    11時~12時  0回  05時~06時  2回    12時~13時  0回  06時~07時  0回 4月9日以降の日別回数(本日の13時現在) 日   9 10 11 12 13 14 15 16 火山性地震 4 4 4 8 10 1 9 11 日   17 18 19 20 火山性地震 5 7 1 41  火山性微動は4月15日15時46分(継続時間1分51秒)に1回、観測されました。  モホ面付近の地震は4月には観測されていません。 次の火山観測情報は4月23日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化が あれば,随時,火山情報でお知らせします。
         火 山 観 測 情 報              第 9 号                         平成11年4月9日14時00分                         盛岡地方気象台 発表             火山名  岩手山 3月26日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,モホ面付近の地震が発生しています。 今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在) 日 3/26 27 28 29 30 31 4/1 2 火山性地震 2 3 9 9 8 13 5 6 火山性微動 0 0 0 0 0 0 0 0 日   3 4 5 6 7 8 9 火山性地震 6 12 4 2 6 10 1 火山性微動 0 0 0 0 0 0 0 ・火山性地震は岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と  岩手山東側のやや深いところ(深さ4~8km)で引き続き観測されました。  3月28日17時17分に岩手山西側でマグニチュード(M)2.1の地震が  発生しましたが,地震の増加などの活発化は見られませんでした。 ・火山性微動は観測されませんでした。(今年に入ってからの月回数は1月7回,  2月4回,3月1回)。 ・モホ面付近の地震は3月28日に1回観測されました(今年に入ってからの  月回数は1月15回,2月12回,3月15回)。 【機上観測】  本日(9日),岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施し,  大地獄谷,黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)及び姥倉分岐付近,黒倉山,  妙高岳南東斜面,御鉢内壁の地熱地帯での雪解け状況を観測しました。大地獄谷  では噴気孔の周辺が黄色く変色している(硫黄昇華物)のを観測しましたが,  その他は前回(3月24日)と比較して表面現象に大きな変化は見られませんでした。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 3月27日,30日,4月1日,4日,5日,9日は表面現象に変化はありませんでした。 それ以外の日は,山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は4月23日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化があれば, 随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 8 号 平成11年3月26日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 3月12日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,火山性微動,モホ面付近の地震が 発生しています。今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在)  日  12 13 14 15 16 17 18 19 火山性地震 9 7 5 5 3 3 6 4 火山性微動 0 1 0 0 0 0 0 0  日  20 21 22 23 24 25 26 火山性地震 10 7 9 7 8 13 1 火山性微動 0 0 0 0 0 0 0 ・火山性地震は岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と岩手山東側の  やや深いところ(深さ4~8km)で引き続き観測されました。この期間,地震回数の増加  などの活発化は見られませんでした。 ・火山性微動は13日17時06分(継続時間5分55秒)に観測されました。(今年に入っ  てからの月回数は1月7回,2月4回,3月1回)。 ・モホ面付近の地震は15日に10回,19日に1回,20日に1回観測されました(今年に  入ってからの月回数は1月15回,2月12回,3月13回)。 【機上観測】  24日に岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施しました。大地獄谷,黒倉山 頂,網張元湯の噴気(量,色など)及び姥倉分岐付近,黒倉山,妙高岳南東斜面,御鉢内壁の 地熱地帯での雪解け状況を観測しました。21~22日頃の降雪により前回(3月3日)と比 較して積雪量が多かったため地熱地帯の雪解け面積は小さく見えましたが,前回と比較して表 面現象に大きな変化は見られませんでした。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 13日,17日,18日,24日,25日,26日は表面現象に変化はありませんでした。 それ以外の日は,山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は4月9日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化があれば,随時, 火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 7 号 平成11年3月12日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 2月26日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】  火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,岩手山西側を震源とする有感地 震がありました。火山性微動,モホ面付近の地震も発生しています。今後も引き続き活動 の推移を注意深く見守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在)   日 2/26 27 28 3/1 2 3 4 5 火山性地震  4  9  4   5 3 2 16 2 火山性微動  1  0  0   0 0 0 0 0   日 6 7 8 9 10 11 12 火山性地震 2 14 10 15 10 8 3 火山性微動 0 0 0 0 0 0 0 ・火山性地震は岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と岩手 山東側 のやや深いところ(深さ4~8km)で引き続き観測されました。3月9日4時25 分に鬼 ヶ城付近でマグニチュード(M)2.2の地震が観測されました。同日7時18分に 姥倉山・ 犬倉山付近でM2.0の地震が発生し雫石町長山で震度1を観測しました。この地震 は火山性 の浅い有感地震としては昨年の10月24日に発生したM2.9以来のものです。こ の地震の あと地震回数の増加などの活発化は見られません。 ・火山性微動は2月26日09時17分(継続時間51秒)に観測されました。 ・モホ面付近の地震は3月1日に1回観測されました(今年に入ってからの月回数は1月 15回,2月12回)。 【機上観測】  3月3日に岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施しました。大地獄谷, 黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)及び姥倉分岐付近,妙高岳南東斜面,御鉢内 壁の地熱地帯での雪解け状況を観測しましたが、前回(2月24日)と比較して表面現 象に大きな変化は見られませんでした。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】  3月3日,4日,6日,9日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は, 山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。  次の火山観測情報は3月26日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化があ れば,随時,火山情報でお知らせします。 ----------------------------------------------------------------------         岩手山の活動経過(2月)  岩手山の火山性地震は引き続きやや少ない状況で推移したが,短時間に集中して岩手山 西側の黒倉山~姥倉山・犬倉山付近に地震が発生した。また,山頂付近やや深いところの 活動も目立った。  岩手山の北東側と南側のモホ面付近(深さ30km程度)での地震活動は活発な状態が 続いている。火山性微動は引き続き発生している。また,地殻変動は岩手山を挟んだ南北 伸張が継続している。  引き続き活動の推移を注意深く見守る必要がある。  以下に,2月の活動経過の概要についてまとめた。 ・岩手山西側(黒倉山~姥倉山・犬倉山)の火山性地震  岩手山西側の火山性地震は,10日,17日,24日の短時間に集中して発生した。1 0日の19時~21時かけて12回,17日の04時台に14回,24日の19時~23 時にかけて19回発生した。地震の規模はいずれもM1以下である。震源の深さは1~3 km位で変化はない。 ・山頂付近・鬼ヶ城付近の火山性地震  山頂付近の浅い地震は,11月以降少ない状態が続いている。2月4日に山頂北西で M1.0の地震があった。  鬼ヶ城付近は少ない状態で推移した。 ・火山性微動・低周波地震  火山性微動は2月に4回観測された(1月は7回)。この中で2月4日,14日の火 山性微動の微動源は岩手山東側と推定され,18日の火山性微動の微動源は岩手山西側と 推定される。  山頂付近を震源とするやや深い(深さ4~8km)低周波地震は12回。1月に比べ (1月28回,12月4回)少なかった。岩手山西側の低周波地震は昨年11月以降ほと んど見られない。 ・モホ面付近の地震活動  モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震活動は平成10年4月下旬から活発化し たが,8月以降も月当たり10回以上と多い状態が続いている。2月も引き続き同程度発 生した。震源は岩手山の北東と南側にあるが,2月の発生内訳は北東側4回,南側8回で 南側が多い傾向は変わらない。 ・地殻変動  国土地理院のGPS観測によると山体に近い基線(M寄木~M西山)では9月3日の地 震以前の3ヶ月間に2~3cm継続的に伸び続け,地震時に1~2cm程度縮んだもの の,その後のゆっくりと伸びの傾向を示していたが今年に入ってほとんど変化が無くなっ たように見える。  東北大学のGPS観測では,岩手山を挟んだ南北伸張の変動は全体的には鈍化している ものの局所的には現在も続いている。 ・ 表面現象  24日,盛岡地方気象台は岩手県防災ヘリコプターの協力による機上観測を実施した。 その結果,大地獄谷,黒倉山山頂,網張元湯の噴気(量,色など)には大きな変化はな かった。また,姥倉山分岐付近,妙高岳南東斜面,御鉢内壁の地熱地帯では雪解けが見ら れたが,前回(1月18日)の状況と比較して表面現象に大きな変化はなかった。
火 山 観 測 情 報 第 6 号 平成11年2月26日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 2月12日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,引き続き火山性微動と モホ面付近の地震が発生しています。今後も引き続き活動の推移を注意深く見 守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在) 日 12 13 14 15 16 17 18 19 火山性地震 10 4 10 0 3 21 3 5 火山性微動 0 0 1 0 0 0 1 0   日 20 21 22 23 24 25 26 火山性地震 15 4 4 2 27 3 3 火山性微動 0 0 0 0 0 0 1 ・火山性地震は岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と 岩手山東側のやや深いところ(深さ4~8km)で観測されました。姥倉山・黒 倉山付近で17日4時台に14回,24日19時から23時にかけて19回の地 震が観測されました。 ・火山性微動は14日03時50分(継続時間4分12秒),18日06時11 分(継続時間2分35秒),26日09時17分(継続時間51秒)に観測され ました。微動源は14日が岩手山東側,18日が岩手山西側と推定されます。 ・モホ面付近の地震は13日に1回,24日に1回観測されました。 【機上観測】  24日に盛岡地方気象台は岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実 施しました。大地獄谷,黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)には大きな変 化はありませんでした。また,姥倉分岐付近,妙高岳南東斜面,御鉢内壁の地熱 地帯では雪解けが見られたが、前回(1月18日)の状況と比較して表面現象に 大きな変化は見られませんでした。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】  12日,16日,19日,24日は表面現象に変化はありませんでした。それ 以外の日は,山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。  次の火山観測情報は3月12日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな 変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 5 号 平成11年2月12日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 2月1日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】  火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,引き続き火山性微動とモホ面付近 の地震が発生しています。今後も引き続き活動の推移を注意深く見守る必要があります。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在)  日  2/1 2 3 4 5 6 7 火山性地震 0 7 8 10 4 1 0 火山性微動 0 0 0 1 0 0 0  日    8 9 10 11 12 火山性地震 2 3 14 15 4 火山性微動 0 0 0 0 0 ・岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と岩手山東側のやや深いと ころ(深さ4~8km)で火山性地震が観測されました。10日19時から21時にかけて 姥倉山・黒倉山付近で12回の地震が観測されました。 ・火山性微動は4日03時42分(継続時間59秒)に観測されました。微動源は岩手山東 側と推定されます。 ・モホ面付近の地震が10日に2回,11日に5回観測されました。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】  5日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は,山頂付近が雲に覆われて表 面現象は確認できませんでした。  次の火山観測情報は2月26日(金曜日)に発表しますが,火山活動に大きな変化があれ ば,随時,火山情報でお知らせします。
        臨 時 火 山 情 報            第 1 号                      平成11年2月2日18時10分                      盛岡地方気象台 発表             火山名  岩手山 火山噴火予知連絡会は,岩手山の活動について,本日18時10分に 次のように統一見解を発表しました。 「岩手山では、西岩手を中心とした浅い地震、浅い低周波地震、地下約30km付近の 深い低周波地震および火山性微動が、現在も引き続き発生している。しかし、これ らの活動レベルは、昨年6-7月頃と比べて全体として低下した。その中で、昨年 9月3日の岩手山南西の地震(M6.1)から11月の中旬にかけて東岩手の活動がや や顕著であった。  西岩手を中心とする南北に伸張する地殻変動は、全体としては鈍化しているが、 局所的に継続している。  これまでのところ、地表付近で地温や噴気の状態に顕著な変化は認められていない。  このように、岩手山の火山活動は、昨年6-7月頃と比較すると低下しているが、 昨年3月以前のレベルにまでは下がっていない。火山活動が長期化する可能性は残 されており、引き続き活動の推移を注意深く見守る必要がある。」 なお,次の火山観測情報は,2月12日(金曜日)14時頃発表の予定です。
      火 山 観 測 情 報             第 4 号                      平成11年2月1日14時00分                      盛岡地方気象台 発表           火山名  岩手山 平成11年1月22日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,25日には18回発生するなど, 1月の回数は12月より多くなっています。火山性微動とモホ面付近の地震が発生して います。今後の火山活動に注意が必要です。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数 (本日の13時現在) 月  日 火山性地震 火山性微動 1 22 5回 0回 1 23 6  0 1 24 5  0 1 25 18  0 1 26 6  1 1 27 10  0 1 28 1  0 1 29 6  0 1 30 12  0 1 31 9   1 2 1 0  0 ・岩手山西側の姥倉山・犬倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近と岩手山東側のやや深い ところ(深さ4~8km)で地震が観測されました。 ・火山性微動は26日07時27分と31日05時37分(継続時間7分56秒)に観測 されました。31日の微動源は岩手山東側と推定されます。 ・モホ面付近の地震が24日に3回,25日に1回観測されました。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 24日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は,山頂付近が雲に覆われ て表面現象は確認できませんでした。 明日(2月2日)火山噴火予知連絡会の定例会が開かれますが,岩手山の検討内容によっ ては火山情報でお知らせします。  また,火山活動に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 3 号 平成11年1月22日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 平成11年1月14日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,火山性微動とモホ面付近で地 震が発生しています。今後の火山活動に注意が必要です。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在) 月  日 火山性地震 火山性微動 1 14 1回  2 1 15 8    0 1 16 11  0 1 17 7   0 1 18 5   0 1 19 9   0 1 20 8   0 1 21 1   0 1 22 2   0 ・岩手山西側の姥倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近,岩手山東側のやや深いとこ ろ(深さ4~8km)で火山性地震が観測されました。 ・火山性微動は14日04時40分と,同日11時40分に観測されました。この内 ,11時40分の微動源は岩手山西側と推定されます。 ・モホ面付近の地震が17日に3回,18日に2回観測されました。 【機上観測】  18日に盛岡地方気象台は岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施し ました。大地獄谷,黒倉山頂,網張元湯の噴気(量,色など)には大きな変化はあり ませんでした。また,姥倉分岐付近,妙高岳南東斜面,御鉢内壁の地熱地帯では雪解 けが見られたが、これまでの状況と比較して表面現象に大きな変化は見られませんで した。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 18日と19日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は,山頂付近が 雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は,2月1日(月曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大き な変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 2 号 平成11年1月14日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 平成11年1月5日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数は増減を繰り返しながらやや少ない状況で推移しましたが,火山性 微動が引き続き発生しています。今後の火山活動に注意が必要です。 【震動観測】 東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在) 月  日 火山性地震 火山性微動   1 5 18回 1 1 6 14 0 1 7 18 0 1 8 9  1 1 9 3  0 1 10 4  0 1 11 19 0 1 12 6  1 1 13 5   0 1 14 0  1 岩手山西側の姥倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近及び岩手山東側のやや深いとこ ろ(深さ4~8km)で火山性地震が観測されました。 11日の20時台に12回の火山性地震が発生しました。震源は姥倉山~黒倉山付近 でそのうち最大はマグニチュード1.9の地震でした。 火山性微動は4回観測されました。このうち5日と14日の微動源は岩手山西側と推 定されます。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 この期間,山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は,1月22日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大 きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。 ---------------------------------------------------------------------         岩手山の活動経過(12月)  岩手山では,9月以降減る傾向にあった火山性地震は12月に入って横ばいの状況 にある。火山性微動の発生は増減をくり返しながら継続している。モホ面付近の地震 活動は活発な状態が続いている。地殻変動も継続している。  これらのことから、岩手山の活動状況は10月の火山噴火予知連絡会開催当時の活 動状況と比べて大きな変化はなく、現在も「岩手山の火山活動は長期化する可能性が ある」(統一見解)と考えられ、今後も注意深く監視を続ける必要がある。  以下に,12月の活動経過の概要についてまとめた。 ・岩手山西側(黒倉・姥倉・大地獄)の火山性地震  岩手山西側の火山性地震は,12月中旬にやや多く発生した。11月に大地獄谷付 近で見られた地震は12月は少なくなり黒倉山~姥倉山付近の活動が目立った。地震 の発生数としては11月より少なく,震源の深さは1~3km位で変化はない。 ・山頂付近・鬼ヶ城付近の火山性地震   山頂付近で浅い地震が7回発生した。このうち最大規模は18日のマグニチュー ド(M)1.4の地震だった。これまでの最大は8月19日のM1.8である。   鬼ヶ城付近では小規模な地震が数日に1回程度の割合で発生した。 ・火山性微動・低周波地震  火山性微動は12月に8回観測された(11月は13回)。この中で12月2日, 3日および25日の火山性微動の微動源は岩手山西側と推定され,4日,24日及び 26日の火山性微動の微動源は岩手山東側と推定される。26日には3回の火山性微 動が観測され,このうち07時32分の火山性微動は振幅は小さいながら継続時間が 16分6秒と比較的長めだった(継続時間の最長は平成7年9月15日に初めて観測 された微動の45分である(東北大学による)。今年に入っての最長は6月28日の 継続時間29分53秒)。  山頂付近を震源とするやや深い(深さ4~8km)低周波地震は,発生数は少ないな がら依然として観測されている。 ・モホ面付近の地震活動  モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震活動は12月も依然として続いてお り,16回観測された。5月の34回が最多だが,それ以降も月当たり10回以上と 多い状態が続いている。震源は岩手山の北東と南側にあるが,12月の発生内訳は北 東側6回,南側10回で11月と同数であった。 ・地殻変動  国土地理院のGPS観測によると山体に近い基線(M寄木~M西山)では9月3日 の地震以前の3ヶ月間に2~3cm継続的に伸び続け,地震時に1~2cm程度縮ん だも のの,その後の4ヶ月間も継続的に伸びているように見える。東北大学のGP S観測では,岩手山西側の南北伸張傾向は7~8月頃から鈍化しているものの,現在 も続いている。 表面現象  盛岡地方気象台からの遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所) による確認を行ったが,表面現象(噴気の増大など)に変化はなかった。12月の観 測延べ日数は7日間,それ以外の日は雲に覆われて確認できなかった。 ---------------------------------------------------------------------     岩手山の平成10年(1998年)1年間の活動経過  岩手山では、平成7年9月から火山性微動と火山性地震の発生が観測されて以来、 大きな火山活動の変化は現れなかったが、平成10年2月から岩手山西側で火山性微 動、火山性地震の増加に加えて地殻変動にも大きな変化が現れるなど火山活動が活発 化した。4月29日には1日の火山性地震回数が285回に達したのを始め、7月上 旬にかけて火山性地震回数が増加した。6月下旬から火山性微動が多発するようにな り低周波地震も目立ち始め、7月10日には振幅の大きな火山性微動が発生した。9 月3日には岩手山の南西でマグニチュード(M)6.1の大きな地震が発生したが、 岩手山の火山活動に大きな変化は観測されなかった。その後、火山性地震回数は減少 している。  一方、山体の南北伸張を示す地殻変動は継続しており、モホ面付近の地震活動も活 発な状態が続いている。火山性微動も増減をくり返しながら継続している。  10月に開かれた火山噴火予知連絡会による岩手山の活動についての統一見解では 「岩手山の火山活動は現在も継続しており、一連の活動が地下深部から始まり、広域 に及ぶことから、火山活動が長期化する可能性もある。今後とも活動の推移を注意深 く見守る必要がある」として注意を促している。現在も同様の活動状況が続いている ため依然注意深く監視を続ける必要がある。 ・岩手山西側の火山性地震  岩手山では、平成7年9月から火山性微動と火山性地震の発生が始まったが、平成 9年12月29日に山体の西側を震源とする地震が発生し始めた(震源は東北大学に よる)。      平成10年2月上旬までは火山性地震は1日当たり0~数回程度だったが、2月中 旬頃から岩手山西側の浅部を震源とする火山性地震が徐々に増加した。3月19日に は火山性地震が90回発生し規模もM1クラスの地震が発生するようになってきた。 4月は1日当たり10~30回程度で推移してきたが、29日に短時間にM2クラス 5回(最大M2.7)を含む地震が多発して日回数は285回になった。  この日以降、火山性地震の発生回数がさらに増えて1日当たりの地震回数も50回程 度になった。5月7日にM3.3の地震が発生するなど、やや規模の大きな地震が目 立ち始めた。6月後半から岩手山西側の火山性地震回数はさらに増加し、1日100 回を越える日が増えた。岩手山の月毎の火山性地震回数では6月が最も多かった。 7月中旬以降は、増減をくり返しながらも減少してきたが、8月30日には短時間に 100回を越える火山性地震が観測された。6月頃から、岩手山の西側を震源とする 火山性地震だけでなく、三ツ石山付近、葛根田付近での地震の発生が目立ってきた。 8月28日には三ツ石山付近でM3.4とこれまでで最大規模の地震が発生した。 9月3日、岩手山の南西約10kmでM6.1の逆断層型の地震が発生した。この地 震による火山活動への顕著な変化は認められなかった。余震が多く発生したがその後 急速に減少した。 10月24日、三石山付近でM2.9の地震が発生した。 11月は大地獄谷~姥倉山、12月は黒倉山~姥倉山付近の活動が目立った。 ・山頂付近・鬼ヶ城付近の浅い地震活動  平成8年夏から山頂直下の浅い部分を震源とする火山性地震が発生した(震源は東 北大学による)が、多くても月に数回程度であった。平成10年7月からは再び目立 つようになり、8月19日には山頂付近を震源とする火山性地震としては最大規模の 地震(M1.8)が発生した。  9月3日のM6.1の地震後、山頂に近い鬼ヶ城付近で浅い地震が増加し、9月3 日と14日にM2.5の地震が発生した。さらに11月1日にはM2.7の地震が発 生した。   また、9月3日、7日には八合目の地震計等に震動が観測されたが震源は不明であ る。    その後も小規模な地震の発生が続いている。 ・火山性微動・低周波地震  岩手山西側の火山性微動・低周波地震の活動  6月23日から岩手山の西側を震源とする低周波地震の発生が見られるようになっ た。6月に4回、7月に3回、8月に2回発生した。  火山性微動は今年に入ってほとんど見られなかったが、6月24日から目立って観 測されるようになり6月下旬~7月上旬、7月下旬~8月上旬にやや多かった。7月 10日には振幅の大きな火山性微動が観測され、小噴火の可能性も懸念されたが、噴 気の増大等の表面現象は確認されなかった。その後も火山性微動は増減を繰り返しな がら発生している。    岩手山東側の火山性微動・低周波地震の活動  平成7年9月に岩手山東側を震源とする火山性微動と低周波地震が初めて観測され たがその後は多くても月数回の状態が続いた。今年に入ってほとんど観測されなかっ たが6月28日に継続時間の長い火山性微動が観測されて以来再び観測されるように なり、7月下旬から8月前半にかけては、やや深いところ(深さ4~8km)で発生 した低周波地震が1日数回観測された。それ以降も発生数は少ないものの依然観測さ れている。 ・モホ面付近の地震活動  モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震活動は、平成8年までは年に2~3 回観測される程度であったが、平成9年後半からやや増加していた。平成10年1~ 3月には月当たり数回程度であったが、4月末から急激に増加した。5月には34回 観測して今年の最多になった。7月も活動は活発で30回発生した。8月以降も月当 たり10回以上と活発な状態が続いている。  モホ面付近の地震活動域は、岩手山の北東側と南側にあり、北東側に比べ南側の活 動が活発であるが、5月には北東側の活動が活発であった。 ・地殻変動  東北大学の傾斜計、体積歪計による地殻変動観測では、3月12日から急激な変化 が観測され始め、4月29日、火山性地震の多発に連動する大きな変化も観測された 。東北大学のGPS観測では、2月中旬頃から岩手山西側が南北に伸張する地殻変動 が観測され始め、9月3日の地震後も南北伸張の変化傾向は鈍化しているものの続い ていおり、12月までに約8cmの伸張が観測された。  国土地理院のGPS観測では、火山性地震が活発化した2月頃から9月にかけて、 岩手松尾-雫石町の基線で約4cm山体が伸張する地殻変動が観測され、9月3日の地 震に伴う変化が見られたもののその後は特に変化は見られない。しかし、山体に近い 基線(M寄木-M西山)では、9月3日の地震以前の3ヶ月間に2~3cm程度継続的 に伸びつづけ、地震時に1~2cm程度縮んだものの、その後の4ヶ月間も継続的に伸 びつづけているように見える。 ・表面現象  現地観測では6月に大地獄谷での噴気温度の上昇(平成8年観測時との比較)と岩 手山西側の姥倉山付近で地温の高い箇所を確認した。また、山頂付近の観測では地中 温度や噴気温度に変化はなかった。  3月11日等のヘリコプターによる機上観測でも異常な変化は観測されなかった。  盛岡地方気象台の遠望観測や八幡平スキー場に設置(建設省岩手工事事務所)した 岩手山監視カメラでも異常は見られなかった。 ・火山情報 火山観測情報第1号(3月17日):3月12日から東北大学の傾斜計、体積歪計に 急激な変化が現れ火山性地震回数も増えた。(平成10年は第77号まで発表) 臨時火山情報第1号(4月29日):短時間に火山性地震が多発し、同時に東北大学 の傾斜計、体積歪計にも大きな変化が見られた。 臨時火山情報第2号(6月24日):火山性微動や低周波地震の発生が見られるよう になった。火山性地震回数はさらに増加して有感地震回数も増えた。 臨時火山情報第3号(7月10日):振幅の大きな火山性微動が観測され、小噴火の 可能性もあった(その後の調査で異常な変化は観測されなかった)。 臨時火山情報第4号(9月3日):岩手山の南西約10kmでM6.1の逆断層型の 地震が発生した。この地震による岩手山の火山活動の活発化が懸念された(その後の 調査で大きな変化は観測されなかった)。 臨時火山情報第5号(10月13日):火山噴火予知連絡会が岩手山の活動について 統一見解を発表した。 --------------------------------------------------------------------- [図表] ・ 岩手山火山監視機器配置図 ・ 岩手山日別地震回数(東北大学の松川の地震計による)1998.1.1~1999.1.14.13 時現在 ・ 月別地震回数表 ・ 岩手山における震源分布(1999.1.5~1.13) ・ 岩手山の月別震源分布図(1998年1月~6月,7月~12月) ・ 岩手山周辺の地震活動(1998年1月~12月) ・ 岩手山東側~犬倉山付近の震央を東西に投影したときの,震央分布の時間変化( 1998年1月~12月) ・ 岩手山日別微動回数(東北大学の松川の地震計による)1998.1.1~1998.12.31 ・ 岩手山周辺でモホ面付近に発生する地震(震央分布図,日別回数ヒストグラム, 月別回数ヒストグラム,回数積算図) ・ 東北大GPS観測点の2点間の時系列変化(IKG-PUTA)
火 山 観 測 情 報 第 1 号 平成11年1月5日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 平成10年12月25日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数は引き続きやや少ない状況で推移しましたが,火山性微動 とモホ面付近の地震が発生しています。今後の火山活動に注意が必要です。 【震動観測】 東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在)    年 月  日 火山性地震 火山性微動   ㍻10年 12 25 4回 1 12 26 9  3 12 27 3  0 12 28 9  0 12 29 5  0 12 30 5  0 12 31 12  0 ㍻11年 1 1 11  0    1 2 7  0    1 3 8  0     1 4 5  0    1 5 17  0 岩手山西側の姥倉山~黒倉山付近,鬼ヶ城~山頂付近及び岩手山東側のやや 深いところ(深さ4~8km)で地震が観測されました。 火山性微動は12月25日に1回,12月26日に3回観測されました。 12月26日07時32分に発生した火山性微動は振幅は小さいながら継続 時間が16分6秒と比較的長めでした。この微動源は岩手山東側と推定され ます。 モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震は1月1日に3回,2日に3 回,3日に1回観測されました。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 12月28日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付 近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 【地殻変動観測】 国土地理院のGPS観測では,山体に近い基線(M寄木~M西山)は9月3日 の地震以前の3ヶ月間に2~3cm継続的に伸び続け,地震時に1~2cm程 度縮んだものの,その後の4ヶ月間も継続的に伸び続けているように見え ます。東北大学のGPS観測では,岩手山西側の南北伸張の傾向は7~8月 頃から鈍化しているものの,現在も続いています。 次の火山観測情報は,1月14日(木曜日)14時頃に発表しますが, 火山活動に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。

  (カウント開始:1998年7月16日)