堆積物から噴火をよみとる
Reconstructing Past Eruptions from the Deposits
 
 大きな火山噴火は地表環境を一変させる.砂サイズの大量のテフラが地表に堆積すると,そこは植生が侵入してくるまで荒れた砂丘となる.
 7900年前の摩周Ma-g/h/i軽石の上には噴火直後に広い砂丘が形成された.その砂粒子のほとんどは,噴火の最終段階に流出したMa-f火砕流の堆積物からもたらされたものである.(北海道別海町西春別)
 7700年前にクレーターレイク・カルデラが生じたときのマザマ軽石の下には暗色の粘土層があるが,マザマ軽石の上には軽石と火山灰を主体とする斜層理をもつ砂層が厚く堆積している.噴火前のこの地点は植生に覆われていたが,噴火後は裸地になって砂丘が広がった.砂は,プリニー式噴火に引き続いて発生した大規模な火砕流の堆積物からもたらされた.
(Bachelar Ski Resort, Oregon)
 十和田湖の1万5000年前の噴火で降り積もった八戸火山灰は,急斜面にいったん定着したが,その後すみやかに風に吹かれて低所へ移動した.
 1980年5月18日にセントヘレンズ火山で発生した岩なだれはスピリット湖に流入して津波を発生させた.爆風を左から受けて規則正しく倒れた樹木が,その直後に発生した津波の引き波で運び去られ,乱雑に堆積している.スピリット湖の湖面には多数の樹木が浮遊している.
 遠方の樹木は右へ倒れているが,手前の樹木は,ここで渦が発生したために火口へ向かって左へ倒れている.1992年6月撮影.
(Harmony Viewpoint, Spirit Lake, Mount St. Helens)