地層は下にあるものほど古い。これは、証明する必要がない自明のことだろう。証明しろと言われても、証明できない。地質学者はこれを、地層累重の法則と呼んで無条件に認めている。
 一方、地形面は低いものほど新しい。高いものは古い。地層とは逆だ。とても高いところにある平坦面は、とても古い時代に形成された。より高い地形面がより古い火山灰に覆われている事実が1960年代に気づかれて、この推論が実証された。

 高い地形面ほど古いしくみをよく考えると、次の二つの基本事実に気づくことができる。
(1)土地は常にゆっくり隆起している。
(2)土地を一気にかさ上げする地学現象の規模と発生頻度は、逆相関している。

 さらに氷期/間氷期の繰り返しまで考えに入れると、日本の山間部の地形をよく理解することができる。
 
浅間火山北麓の電子地質図 2007年7月20日
著者 早川由紀夫(群馬大学教育学部)
描画表現・製図 萩原佐知子(株式会社チューブグラフィックス
ウェブ製作 有限会社和田電氣堂
この地質図は、文部科学省の科研費(17011016)による研究成果である。
背景図には、国土地理院発行の2万5000分の1地形図(承認番号 平19総複、第309号)と、 北海道地図株式会社のGISMAP Terrain標高データを使用した。