三宅島-神津島2000年ページ
最新のページへ
9.03(日)
- カルデラ宣言 いま三宅島山頂で陥没による拡大を続けている凹地形を,私はこれまで火口と呼んできましたが.以後わたしはこれをカルデラと呼ぶことを宣言します.カルデラ床の南端あたりに開いた火口からいま火山灰を含んだ白っぽい噴煙が上昇しています.この噴煙には多量の有毒ガスが含まれています.
- カルデラの直径はいまおそらく1.7キロ.陥没はまだ続いているとおもいます.もしいま陥没停止しても,その後の火口壁崩壊によって,
直径が2.0キロを超えることがほぼ確実だと思います.なお最終的直径は,おそらく3.0キロを超えるだろうと私は予測します.島の直径は8キロです.(1550)
東京都はきょうの大規模防災訓練を予定通りほんとにやるらしい.(0715)
気象庁の失敗と違反と不誠実(0655)
9.01(金)防災の日
- 東京都が12時に「呼びかけ」をしました(NHK1200).この行為は,災害対策基本法の中に該当する条文をみつけることができないものです.法律の枠外でなされた行為だと判断できます.しかし,東京都がそのつもりになったことがこれではっきりしたのですから,三宅村長は60条をすみやかに使って,全島民に避難指示を出すのがよいと思われます.60条による避難勧告・避難指示は市町村長だけに認められた権限です.
- 避難指示は避難勧告より急を要するときに出します.3日間の安全保証はどこにもないのですから,急を要する避難指示がよい.今日の14時の東海汽船で,整然と,そして経済的に立ち退くのがよい.東京都にあまり負担をかけないやさしい心配りをしましょう.
- 60条では,必要あるときは村長が立ち退き先を指定することができますから,とりあえず,東京新宿の都庁を指定するのがよいと思われます.
- 島のあとのことはすべて支庁にまかせ,村役場職員・消防団をふくめた村民全員が立ち退くがよいと思います.(1240)
-
- 東京都は,25日に各戸配布したビラで約束した「村民全員にヘルメット配布を支給」を自力で実現できなかった.イトーヨーカドーの好意によって届けられたヘルメットをきのう31日,泥流危険を避けるために避難所に集まっていた島民に配布した.(0650)→朝日新聞天声人語9.01
8.31(木)
- 天皇,皇后両陛下が7-12日までの日程で予定していた葉山御用邸(神奈川県葉山町)での静養を取りやめた(時事通信,毎日新聞)
-
- シナリオの確率を変更しました.(2150)
-
- 美茂井に堆積した8.29火山灰の表面と断面.どうやら火砕流の堆積物ではなく,降下火山灰のようだ.成層構造がほとんど見られない.とても細粒の火山灰ばかりからなっている.火山礫がほとんどみえない.一番右は,FNN1800できょう取り上げられた青いタイヤ.みゃるさん@美茂井撮影(2105)
-
-
- さだぞうさん@坪田撮影の8.29噴火(1720)
-
- 三池に入港する東海汽船に迫る三宅島火砕流アニメ.29日早朝.cline@松本さん作成.野田さんのページにおかれた画像から.(1630)
-
- いま気象庁で火山噴火予知連絡会・伊豆部会の会合が開かれています.終了後に,見解発表とそれに続く記者会見があるでしょう.発表される見解文に「厳重に警戒」の五文字が入るかどうかの一点だけが注目です.これまでの見解文は「注意」に留まっています.
- この見解は,火山情報として三宅島測候所から発表されるだろうと思われます.火山噴火予知連絡会は気象庁長官の私的諮問機関であり,法律的根拠をもちません.だから火山噴火予知連絡会に,この国の重大事にかんして,何かを期待するのはお門違いだと言えます.
- 火山現象による災害から国民の生命及び身体を保護するため必要があると認めるとき,国は,火山現象に関する情報を関係都道府県知事に通報しなけれはならないことになっています(活動火山対策特別処置法21条1項).この国の火山監視は,気象庁が担当することになっていますから,通報義務は,気象庁にあります.
- 気象庁は,生命・身体にかかわる火山活動が発生した場合に緊急火山情報を出す内規をもっています.したがって,きょうの伊豆部会終了後に,緊急火山情報が出るかどうかに注目が集まります.「厳重に警戒」は,緊急火山情報のなかに特徴的に入れ込まれるキーワードです.伊豆部会にみずから毎回出席して,さかんに発言して会議のムードをひっぱっているという山本・気象庁長官のリーダーシップが試されています.(リンクは気象庁サイトと岩手県サイトへ;1450/1535/2110)
-
- 科学の傲慢
-
- ニュースクリップ
- ・「火山噴火予知連が公式な見解を述べてくれて初めて判断ができる」(都知事)(アサヒコム)
- ・三宅島からの避難船が座礁=男女2人、新島に着き無事(時事通信)
-
- 住民は理論に信頼せず、(桜島1911年噴火記念碑文)
8.30(水)
- 『いまだ全島避難されず』(坂本正明,ANN8.30.1755から8分)より.テープ起こしテキスト
- 動画はWin-IEで再生できることを確認してあります
-
-
- 三宅島8.29火砕流アニメ cline@松本さん作成.きのう飯沼さんから提供された01,09,10,三枚を使用した.(1745)
-
- アサヒコムに掲載されている美しい写真.写真をクリックするとアサヒコムのオリジナル画像に飛びます.
-
- 過去の発言から,いま重要なものを拾い出しました:
- 火山観測指針(観測編)(まつさん@九州大学のページへのリンク)より:
- (4)火山地域に発生する異常現象の発見は、地元住民からの情報によることが多い。入手したならば、必ず踏査を行ってその現象を確認する。しばしば火山活動とはまったく無関係なものがある。→三宅島測候所員との電話会話 8.29.0638ころの約4分間
-
- 噴石の誤解 「噴石が降る恐れがあります」(NHK0703がつたえる気象庁発言).えっ,気象庁の噴石は飛ぶんじゃなかったの?
- 50センチの大岩は飛ぶものです.5センチの小石は降るものです.この二つの独立した加害要因をきちんと区別した言葉づかいがいま必要です.
- 飛ぶ大岩の方向性は,射出口の形状とその周囲環境だけに支配されます.大岩は弾道軌道を描いて飛行します.火山爆発では,噴出口から5kmまでしか達しません.同じ初速で射出されれば,空気抵抗の影響を受けにくい大きい岩ほど遠くまで達します.
- 一方,降る小石は,噴出率で決まる噴煙の高さと上空の風向きに支配されます.風下に降ります.その大きさは,噴出口から離れるにしたがって系統的に小さくなります.
- きのう朝,三宅島測候所員に拒絶された私の発見者通報は,後者の小石にかかわるものでした.(0725/0835)
- →噴石にかかわる私の発言8.20(ちばさん掲示板で)
-
- 読売新聞第二社会面「気象庁三宅島測候所は,島北部の気温が午前五時の25度から同43分,29度に急上昇し,同六時には26度に戻ったことを確認」→牛山さん@京都大学の分析結果
8.29(火)
災害対策本部を再設置した東京都へのおねがい 気象庁が発表する火山情報すべてを貴サイトに置いてください.毎日二回発表される火山観測情報をウェブでなかなかみることができなくて,たいへん困っています.有珠山の噴火のときは,北海道がこの仕事を最後まで立派にこなしました.(2355)
噴火予知連 渡辺秀文部会長のテレビ発言(NHK8.29.2208)東大地震研究所でのインタビューだと思われる
「今回の噴火もそうですが,まあ18日の噴火もそうなんですが,はじまったとたんに,巨大になる,あっ,激しくなるというわけでは,かならずしもありませんで,数十分かけて,だんだん激しくなるわけです.今回のような薄い火砕流の場合ですと,屋内などに避難すればですね,そういうやや温度が高い火砕流よりの,やけど等の被害からは避けられると思いますけど.」
低温ならば火傷しないと言っているだけだ.この仮定が十分正当であることが担保されていない.またこの発言は三宅島火砕流の危険すべてを認知しているものでない.(2240)
三宅島の火砕流から身を守るヒント(ちばさん掲示板3961. 2000年08月29日
16時56分20秒 投稿:Hal.T から転載)
- SO2,H2S(ガス):室内では換気扇を止め(なぜって排気した分は外から入ってくる)、タオルに水を含ませてマスクにする。ガスが水に溶けて硫酸になるので時々水洗いすること。自動車の中では外気導入から内気循環に変えるか、またはファンをとめる。
- 火傷:火傷した部分は非常にもろくなっているのでさわらないこと。服を脱がせる必要があるときは鋏で服を切り裂き解体する。それよりもとにかく火傷部分が冷え込むまで10分以上水をかける、からだが冷え込むぐらい水につけると直りが良いし痛みも和らぐ。海水でも良い。
- 神着沖の海面を火砕流が前進しました.上の写真は,0510ころ大久保浜から撮影された.飯沼義仁さん提供.伏見初雄さん撮影らしい(JNN9.01.1800)
- ・過去の類似例→Montserrate
1996, West Indies
- ・このとき,みゃるさん@美茂井からの実況報告がちばさん掲示板にある.わたしの3888まとめ.
- ・天神さんこと飯沼義仁さんから提供いただいたそのほかの写真:00S 00L 03 04 05 06 07 08 | 09 10 01 02
- ・きょう1900のNHKニュースではじめて三宅島の火砕流を知った方へ:じつは18日の噴火でも10日の噴火でも火砕流は発生していました.このサイトの中をよくお探しください.それから,ちばさん掲示板の過去ログをお読みください.
-
- 村営牧場を飲み込んだ火砕流(右の写真は三宅高校@坪田より,千葉さん@アジア航測撮影0550,掲示板3854から)
気象レーダー(経時変化を知ることができます)05時ころと06時ころの2回,大きな噴煙上がりました.05時ころは火砕流が神着海岸まで達しました.06時ころは火砕流が村営牧場まで達しました.
三宅島測候所員との電話会話
0638ころの約4分間
8.28(月)
- 8.29.1400説明会@坪田のための想定質問集(1715)
-
- 東京都が考えていると思われるシナリオを予想してみましょう.
- 東京都三宅支庁が25日に村民に配布したビラには,「都及び村は、気象庁及び「火山噴火予知連絡会」(事務局は気象庁)の公式見解に従って判断します」と書いてあります.それでは,気象庁及び火山噴火予知連の公式見解は何でしょうか.見てみましょう.もっとも新しいのは24日の見解です.そこには,次のように書いてあります.「当面は、18日と同程度かこれをやや上回る程度の山頂噴火が繰り返される可能性があります」.
- 18日の噴火では,死傷者こそ出ませんでしたが,伊ヶ谷の都道に複数の大岩が突き刺さり,島の南半部(三池〜坪田〜阿古)で,石が降って自動車のガラスがたくさん割れました.激しく降る火山灰で,文字通り一寸先は闇.島に三つある大きな港(三池・阿古・大久保浜)に船を接岸することがまったく不可能な状態でした.
- 25日のフジテレビの取材にたいして,「仮に状況が急変しても、脱出できる態勢は5〜6時間で整えられる」と東京都は答えたそうです.たしかに間違っていません.それだけの時間があれば,じゅうぶんに態勢を整えることはできるでしょう.しかし実行するのはむずかしい.ほとんど不可能だと言ってよいでしょう.島の南半部で18日の噴火を経験した住民すべてがこのことをよく理解していると思います.
- 噴火がはじまったら,住民は脱出行動を起こしたくてもできません.近くの家の中に逃げ込む以外,とるべき方法はないでしょう.避難所まで移動することすらも困難です.18日の噴火でじっさいそうだった人が何人もいます.さいわいにして風上側で降灰が少なくても,噴火とともに降る雨で泥流が発生して港までの道路が通れなくなることがありそうです.港に到達できたとしても,石が雨のように降る中(いくらヘルメットをかぶっていても)港で接岸する船をじっと待つことは,自殺行為に等しい.
- 18日の噴火は,よわい北風のもとで起こりました.これはまれなケースです.ふつうは,西あるは南からの風です.次の噴火のときはその風が選ばれる確率の方が高い.したがって,18日の噴火での石が降る難儀は,こんどは島の北半分が引き受けることになる確率が高い.なお悪いことに,山頂火口底内での小火口が時計回りに移動しました.18日は伊ヶ谷に大岩が着弾しましたが,こんどは伊豆と神着に着弾する確率が高い.
- 大岩はすべての住宅にあたるものではありません.100軒のうちから数軒が選ばれて破壊されます.おそらく最初に破壊されるのは,一周都道の山側にある大きな三階建てでしょう.近くて大きければ当たりやすいですから.
- いまが夏なのが不幸です.冬ならつよい西風が吹くから,風上にあたる阿古の港から脱出できるかもしれない.夏は風が弱いので,18日のような上空18kmまで達する高い噴煙柱が立つと,半径わずか4kmの三宅島では全島に灰が降ってしまう.噴火がはじまってからの島外脱出が不可能なのは火を見るより明らかです.
- このように,住民にとっては世にも恐ろしい,とうてい従うことができないシナリオを東京都は考えているように思われます.(1430/1455)
-
- 火砕流がくだる方向 三宅島山頂には,いま6億立方メートルの容積をもつ火口が開いている.この中から噴煙が立ち上がると,その一部が火砕流として山腹をくだる恐れがある.火砕流は,6億立方ートルの桶から溢れ出す水のように流れくだる.いま,その火口縁は,西側一個所と,スオウ穴とその東隣の穴がある北東側二個所が低い.西側から溢れ出した火砕流は阿古に向かって,北東側から溢れ出した火砕流は神着〜ひょうたん山に向かってくだるだろう.
- なお,8.10噴火と8.18噴火で火砕流が発生したことを映像から確かめることができる.(1310)
-
- 朝日新聞8.28社説の筆者へ,
- 次をお読みいただけたら幸いです.
- そして最後に上の「シナリオ 向こう一週間の発生確率つき」をお読みください.
-
- けさのさだぞうカメラ 0551からの1時間
-
前嶋さん作成のバックナンバーから
8.27(日)
- NHKテレビがぜったい放送しない18日の噴火災害映像があります.民放テレビは放送するから,とくに放送法で禁じられているわけではないでしょう.もってないわけでもないでしょう.もし次の映像をNHKテレビが放送していたら,その日時を教えてください.できれば画面キャプチャを添えて.
- 三池〜坪田〜阿古に大量に降り注いだ石でガラスを割られた自動車の映像
- 伊ヶ谷の都道アスファルトに突き刺さった大岩とそれがつくったクレーターの映像.(1220)
- けさのさだぞうカメラ 0534からの1時間
-
前嶋さん作成のバックナンバーから
-
- Asahi.comが次のように伝えている:青山副知事は「溶岩が流れ出すような噴火はある程度事前に予測でき、全島避難が必要な場合は科学的、行政的に判断する」。
- 玄武岩の火山島で起こる深刻な災害はマグマ(の地下上昇あるいは地表流出)によるものではないことを,何度ここに書けば伝わるのだろう.どうやら,どうしても伝わらないようだ.考えられる解釈は二つ.
- 日本の火山学のレベルが低い.
- 気象庁が仕事をしていない.(0800/1000)
- 噴火からの逃げ方:実践編(0735)
-
- 山頂陥没火口底での小火口の移動 広い火口底に開口した小火口の位置は,8月11日には南東端にあったが,それから毎日ゆっくりと,西南西あるいは西方向に移動して,いまは南端あるいは南西端にあるようだ.火口底内での小火口の位置は,大岩が飛ぶ方向を予測するためのもっとも基本的データである.18日の噴火で伊ヶ谷に大岩が複数着弾したのは,小火口が南東端にあったからである.(0715)
-
- →ふじたさん@アジア航測による判読結果.私の図よりこっちの図のほうが信頼がおける.
- このことが意味すること:山頂火口には広い火口底があります.水蒸気と少量の火山灰を放出する場所は,その端っこにあります.18日の噴火の前(10日)は,5時の方向にありました.18日の爆発はそこからおこったと思われます.ここからの爆発で飛び出した大岩のうち,坪田方向へ射出されたものは,火口壁にぶつかりました.しかし伊ヶ谷方向へ射出されたものは,自由飛行して,都道に着弾しました.複数が6メートル幅の舗装道路の上に落ちました.林の中には何百何千の大岩が落ちたでしょう.その後,水蒸気を上げる場所は,20日に6時の方向へ移動し,26日には,6時30分と7時の二方向(二個所)にあります.予知連の発表にあるように,18日と同じかそれ以上の噴火が次に起こる場合,そのとき水蒸気を上げる場所から起こるだろうと考えられます.伊ヶ谷〜伊豆〜神着の都道に大岩が着弾するでしょう.厳重に警戒してください.(1750)→伊ヶ谷への岩塊着弾の危険8.22図解つき
-
- きのう島に運び込まれたコンクリート製(転用)シェルターですが,ないよりは,まし.出入り口のオープンスペースが火口から直角方向になるように設置してください.
- 地上の特定の一点にいる人にとって,石は,火口方向から降ってくるときと,その反対方向から降ってくることが多い.しかしいまは夏だから,これ以外の方向から高い角度で降ってくることがある.18日の噴火の石は,ひょうたん山で南70度からふったらしい.ちばさん掲示板でのちばさん3218による.しかし,これはマイナーケース.
- 誤解がないように,注意します.この転用シェルターより家屋の中のほうがより安全です.屋内にいる人がこの転用シェルターに向かって避難するのは不適切行動です.あくまでも,路上の人が緊急避難するためのものです.つまり,ないよりは,まし.(0540)
-
- きのう1415,NHKが重大な誤りを報道したとここに書きました.その後,新しい情報を入手しました.NHKに誤りはありませんでした.ごめんなさい.撤回します.ただし下の記述は削除せずにこのまま残したい.
- 予知連会長は,24日見解発表の記者会見の場で,たしかに「警戒」という語をもちいたとのことです.なお東京都は予知連の公式見解に従って判断すると,三宅支庁が25日に住民配布したビラに明記されています.(0505)
- しかし気象庁は,「警戒」とはいっていません.あいかわらず「注意」に留まっています.火山観測情報193(1025)