峰ノ茶屋の東2.7kmに白糸の滝がある.厚い白色軽石層とその下の湖成粘土層の境界から幾条もの水が流れ落ちている.この白色軽石が20kaに小浅間の位置から噴火した白糸軽石である.軽石塊の中には斑晶がわずかしか含まれていないが,浅間山にはまれなホルンブレンドが見つかる.ホルンブレンドは小浅間ドームの溶岩にも含まれている.また,白糸軽石の分布を調べて等層厚線をかくと,噴出源は中央火口には届かず,そこから4km東に離れた小浅間ふきんで閉じる.
白糸軽石の下に湖成粘土層があることからわかるように,小浅間山と鼻曲山を結ぶこの地域は,20ka以前から平坦だった.浅間山の東に広がるこの平坦地形は北方の草津白根山から眺めると印象的である.この平坦面の上には浅間山のテフラが整然と堆積していて,堆積物層序からこの火山の噴火史を編むことを可能にしている.
白糸の滝.峰ノ茶屋ふきんから2万年前に噴火した白糸軽石とその下の湖成層の間から幾条もの水が流れ落ちる.