駐車場(地点7A)でまず地形を観察しよう.左から,小浅間溶岩ドーム(20ka),仏岩,前掛山,鬼押出し溶岩(1783年),上の舞台溶岩(1108年),下の舞台溶岩(4世紀),四阿山,草津白根山である.
黒豆河原からみた浅間山.左から小浅間山溶岩ドーム,前掛山,鬼押出し溶岩流
吾妻火砕流の南東縁にあたるガリーの中(地点7B)で溶結した堆積物断面をみる.上部20cmが赤く変色しているのは,堆積したばかりの高温状態のとき大気中の酸素によって酸化反応が起こったためである.上面と下面の両方から冷やされたために,等冷却面に垂直に柱状節理がはいっている.断面には岩塊とマトリクスを認めることができる.岩塊は丸く,その周縁部1cmは急冷されてガラス質になっている.
このガリーに沿って下流へ行くと(地点7C),吾妻火砕流堆積物の下にA軽石,A'軽石,Bスコリア,追分火砕流堆積物の露出を見ることができる.A//A'間のレスは黒いが,A'//B 間のレスは褐色である.腐植の蓄積速度が一定であったと考えれば,厚い後者よりむしろ薄い前者のほうが長い時間かかってつくられた地層であると判断される.
このふきんの追分火砕流堆積物には,最大傾斜方向にほぼ直交する方向に伸びた割れ目が多数認められる.重力による引っ張り割れ目である.開口した割れ目の内部には,火砕流堆積物の冷却に伴って発生したガスによって形成された赤・黄・白の硫気変質物を見ることができる.