離山溶岩ドームの形成から1250年後、いまから2万0800年前に峰の茶屋から噴火が始まった。今度は軽石をバラバラと、やはり榛名山の上に降らせた。白糸の滝に露出する軽石がそれだ。小浅間山溶岩ドームが火口に栓をして噴火は終わった。
小浅間溶岩ドームは、浅間山頂火口の東4キロ地点にある。東側(左側)が峰の茶屋だ。森の中に東京大学の浅間火山観測所がある。西側には森がなく、裸地になっている。その原因は、1)風上側にあたる、2)山頂火口から放出される火山ガスの悪影響が考えられる。
 小浅間の山頂は、窪地を挟んで二つに分かれている。溶岩ドームは巨大なパン皮火山弾のようなものだから、冷却に伴ってひび割れする。久野久はこの地形を断層だとみなしたが、それは当たらない。溶岩ドーム頂部のひび割れは小浅間山だけに限らず、箱根の双子山、伊豆半島の矢筈山、別府の由布岳など、他でも見られる。
 
浅間火山北麓の電子地質図 2007年7月20日
著者 早川由紀夫(群馬大学教育学部)
描画表現・製図 萩原佐知子(株式会社チューブグラフィックス
ウェブ製作 有限会社和田電氣堂
この地質図は、文部科学省の科研費(17011016)による研究成果である。
背景図には、国土地理院発行の2万5000分の1地形図(承認番号 平19総複、第309号)と、 北海道地図株式会社のGISMAP Terrain標高データを使用した。