9月1日20時02分に爆発。沼田、相馬に降灰。噴出量18万トン。一回で終わらず、1万トンを超えるブルカノ式爆発を11月14日までに5回繰り返した。また9月14日から18日かけて爆発音を伴わずに山頂火口から灰を連続的に放出する灰噴火をおこなった。その灰は、細かい軽石と結晶からなっていた。放出された火山灰の総量は37万トンだったが、この10倍以上にあたる470万トンの新しい溶岩が9月中旬に釜山火口底を埋めた。
火口の東4.5キロの道路上から採取した11月14日の火山礫。降雨後の試料(地点66)。
登山道のクレーター
P1030617s.jpg溶岩樹型からシラハゲに上がる登山道沿いにクレーターがある。地形の新鮮さと緑の侵入の少なさからいって、2004年9月の爆発によって飛来した火山弾がつくった穴だと思われる。山頂火口中心から2.35キロ離れた標高1630メートル地点だ。2004年の最遠到達記録2.2キロを塗り替えた(地点58)。
百トン岩
9月23日の爆発で火口中心から450メートル地点に着地した火山弾。1950年9月23日爆発で山頂火口の北縁に着地した千トン岩との重量比較から、これを百トン岩と呼ぶ(地点65)。
衝突クレーターと山火事
IMG_2198m[1].jpgP1010959s.jpg9月1日のブルカノ式爆発で焼けた高山性矮低木群落。火口から1.6キロの標高2000メートル地点で2004年9月3日に撮影(左)。2年後の2006年10月28日、焼けた領域にはクロマメノキばかりが復活していた(右)。山麓からこの場所が赤く見えたのは、クロマメノキが紅葉したからだった(地点63)。
IMG_2202m[1].jpg直径6メートルのインパクトクレーター。これをつくった直径0.8メートルの火山弾(インパクター)が北西壁に見える。左は2004年9月3日、右は2006年10月28日に撮影(地点62)。
2004年9月3日の調査報告
ミネズオウの白い花
P1030565s.jpg白い花がミネズオウ。2004年9月1日の山火事は、シラハゲの上のガンコウランとクロマメノキと、このミネズオウが燃えた。

  焼けた場所は、いったん真っ黒になったが、翌春にはふつうの枯れ草の色に変わり、秋には緑もみえた。2年後にはすっかり緑になって、ガンコウランもクロマメノキもたくさんの実をつけた。浅間山の緑の回復力はめざましい。2004年の噴火なんて、ものともしない。いまそこにいっても、2004年9月に高温火山弾の飛来で山火事があったなんて、ふつうのひとには、おそらくわからないだろう。
 
浅間火山北麓の電子地質図 2007年7月20日
著者 早川由紀夫(群馬大学教育学部)
描画表現・製図 萩原佐知子(株式会社チューブグラフィックス
ウェブ製作 有限会社和田電氣堂
この地質図は、文部科学省の科研費(17011016)による研究成果である。
背景図には、国土地理院発行の2万5000分の1地形図(承認番号 平19総複、第309号)と、 北海道地図株式会社のGISMAP Terrain標高データを使用した。